ナツノート

映画や本の感想

【映画感想】聖なる鹿殺し

 

 究極の選択…すらも運命に丸投げした男の話。

 

私、この映画を別の映画と混同していて、「美少年を招き入れたら家庭が大変なことになった話」と思っていましたが、だいぶ違いましたね。

混ぜていたのはこちら。視聴後一晩経って思い出した。

 

 こっちはこっちで実の親子の話なので、美少年しか合ってない。

 

さて、本題の映画の感想です。

 

ギリシャ悲劇「イピゲネイア」になぞらえた舞台設定の中で、人間の負の面が執拗に描かれます。親子愛、職業倫理、利他の精神など、人の善性に属するものすべて、追い詰められた状況、死にたくないという本能的な恐怖の前で脆くも消し飛びます。えぐい。

グロやゴアはそんなにないです。薄目になったのは1シーンくらい。

でもカメラワークや演出、音楽が怖くて、見てる間中不安になる感じでした。

 

最初、マーティンはスティーブンのセフレだと思ったんですよ。

高い時計買ってあげたり、距離感が明らかに変だったから。

社会的地位も家庭もある医師のスティーブンだが、実はゲイで…みたいな。

違いましたね…。BLの見過ぎですね…。

 

セクシャルなシーンもちょくちょくある話なのですが、淡々としていてどこか滑稽。

全身麻酔プレイか。そうかー。

あと、ニコール・キッドマンが鬼のような顔で手コキをしてくれるシーンがあります。

おっさん、あれでいいんかい。

ランティモス監督は「この映画はコメディだよ☆」みたいなコメントをされてるそうですが、アリ・アスター監督といい、あんたらその感性どうなってるん、と言いたくなります。

でもたしかに引いた視点で見ると、一周回って乾いた笑いが漏れてくる感じがあるんですよね。スティーブンがマーティンの家に凸りに行くとことか、学校の先生に「査定的にどっちがいい子ですか」って聞きに行くあたりとか。先生困ってたやん…

 

グッドナイト・マミーが見てる間「もう許してー!」となるのに対して、こっちは「なんか不安、つら…」って感じでした。