【映画感想】ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
長かったフロドの旅も終わりを迎えます。3作目です。
魔法や神秘と地続きだった世界が落日を迎えるときのお話だからか、どこか秋っぽいような、夕暮れのような雰囲気の漂うお話でした。
素朴なホビットたちは、この冒険を終えてシャイア荘に帰ったら、さぞ賑やかな凱旋のお祭りになるかと思いきや、四人静かに飲んでいました。様々なものを見てしまった彼らは、冒険や活躍を純粋に誇ることはできないのでしょう。
指輪を葬ったのに、ビルボがまだ指輪に囚われている様子も描かれていて、そんなビルボにフロドが慰撫するように寄り添っていた姿が、なんとも哀しかったです。
誰かがやらねばならなかった役割とはいえ、二人とも平凡な人としての生は失ってしまったのだなあ。
三作見終わって、ガンダルフがほんと好きだなあと思いました。
フットワークが軽くて好戦的で。
この世に並ぶもののない白の魔法使いなんだけど、わりとおこりんぼで人間味があるところがかわいいです。抱いて寝てたサルマンの水晶玉を壺とすりかえられちゃうとことか。
ミナスティリスでの立ち居振る舞いは、魔法使いというより老将のようじゃないですか。
人の世のよき勢力が負けないようにするのがガンダルフの役割なのかなって。
だとしたら、崩れそうな兵たちに発破をかけて立て直すのも当然なんだけど、「引くな、持ち場に戻れ!」って兵を叱咤するおじいちゃん魔法使い。強い。水戸黄門かな。
それから、徹頭徹尾物理で戦う魔法使いでしたね。
兵に持ち場を捨てて逃げるように命じたデネソールをぶんなぐり。息子共々焼け死のうとしたところをまたぶっとばす。消火の魔法とかかけたらどうかなって思うんだけど、どこまでも物理。
なぜなんですガンダルフ。
愚か者め。魔法とはそういうものではないのだ、とか言われたい。
公開当時はわけわかめだったけど、今見るとエオウィン姫、めちゃかわいかったです。
優しくて気丈で勇ましくて。ファラミアと幸せになってくれ。
それからファラミア。ガンダルフは「デネソール公は正気を失っている。本当はそなたを愛しておる」って言っていたけど、その愛はどこまでも自分本位だったんじゃないかな…。
度々試練に襲われた若い二人ですが、アラゴルンの戴冠式で、並んで良い顔をしていたのが嬉しいです。二人の未来に幸あれ。
あっ、そういえばサルマンと術ジルさんみたいな顔の人はどうなったんだろ。エントさんたちに見張られてそのまんまなのかな。