【映画感想】コードネームU.N.C.L.E
アーミー・ハマー…アーミー…聞いたことあるなぁ…
(検索)えっ?!君の名前で僕を読んでの彼??!!
いやぁ、役者さんて凄いですね。
少年が惹かれる知的な大人の男性と、無愛想なロシアのゴリラスパイの演じ分けがなによりびっくりでした。
さて、本作はスパイもの。核の技術がナチに渡らないように、アメリカとロシアの諜報部が手を組むというお話です。
数年前「裏切りのサーカス」を観て、誰が誰なのか、何をしてるのかさっぱりわからんかった私ですが、スパイ映画を数本みたおかげで、何となく勘所が掴めてきました。
大体ロシアとアメリカが表面上敵対してるけど、裏で取引したりしてて、あとイギリスも途中から絡んでくるの。んで、舞台はベルリンなの。(ドヤァ)
このようなポンコツにも楽しめる、キャラクターがはっきりした映画です。
アメリカのスパイ・ソロは007を思わせる色男。ロシアのスパイ・イリヤは激しやすいゴリラ。
そんな二人が上司の命令で無理やり組まされて、張り合いながら共闘していきます。
イリヤと警護対象のギャビーのロマンスがかわいいんだ。
終わり方が続編を匂わせる感じだったので、この二人の進展が見たいですね〜。
キャラクターはソロが一番惹かれるので、今度は彼の掘り下げもしてほしい!
顔が良すぎてスパイ向いてなくない?っていうくらい顔がいい。好き。
【映画感想】キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン
可笑しくもかなしい、若き詐欺師と生真面目なFBI捜査官のおっかけっこ。
実在の天才詐欺師をモデルにした映画です。
自分内殿堂入りの、大好きな映画。
久しぶりに見たのですが、若い頃は気づかなかったことが色々見えました。
まず、主人公フランクがびっくりするくらい幼い…!昔見たときはお兄さんに見えてたけど、今見ると、ほんと寂しがりの家出少年だーって切なくなりました。
お金さえあれば、幸せだったあの頃の家族に戻れると思ってたのよね…うう…
そして、実父のダメさが印象に残ってたのが、母もアレだな…と気づきました。
あのお母さん、自分はどういう環境を幸せと感じるか分かってて、行動に移した賢明な人だと思うんだけど、子どもにとって問題が起きたとき、きちんと向きあってくれる人ではないんですよね。
父親もそこは同じで、カーペットにワインをこぼしたときの二人のリアクションがそれを物語ってたんだと思います。問題を無視して、やりたいことをやって、その足元で踏みつけられたしみがどんどん広がっていくの。
実の親が果たさなかった役割を果たしてくれるのが、捜査官ハンラッティなわけですが、改めてみるとめちゃかわいいおじさんでした。
エクレア半分ちょうだいってフランクに言われて、あげると思いきやもっもって食べちゃったり、一緒に組んだ捜査官に裏口を見張ってたらアイスをやる、って言って本当にチョコバーを買ってあげてたり。かわいい。
父性の役割のうちの一つが、「枠組みを作ること」だと何かで読んだ気がします。
能力の許すまま、無軌道にその場しのぎの生き方を続けかねなかったフランクに、捜査官の職務を通してまっこうからぶつかって断罪し、社会秩序の中で生きることを教えてくれたのがハンラッティなんですよね…尊い。
あのフランスの警察にフランクが連れてかれるシーン、心細げに振り返るフランクと、「必ず連れて帰ってやる」と叫ぶハンラッティは、もう、お父さん…!って感じでした。
【映画感想】ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
コミカルかつ陰鬱に始まり、最後にはなんだか楽しくなっちゃう警察ミステリーアクション。楽しい。これ好きー!
ロンドンの超有能警官ニコラスは、その有能さ故に疎まれ、田舎町に左遷され、冴えない地元警官ダニーと組まされてしまいます。
この折り合いそうもない二人が、だんだん仲良くなっていくのが、なんとも見ててほっこりするんですよー。
ニコラスの生真面目で融通のきかないところを受け止めるダニーの懐の深さよ。そして、誕生日なのを黙ってたことに「なんで言わない!!」ってキレて花屋に駆け込むニコラスの可愛さったらなかった。
お互いに影響を受けて、二人とも変わっていくのもぐっときますね。
ダニーは父親の影響下から脱し、ニコラスは周囲の人間が目に入るようになってた。
コミカルなエピソードとして描かれる一つ一つの出来事が、村に隠された秘密のピースになっている構成も楽しかった。最後まで引っ張られる白鳥ちゃんとか。
割と全編にわたりゴア描写があってびっくり。そういう映画だと思ってなかったからさ…。でも陰湿さがないのでカラッとしたゴアです。
それからアクション要素。私、およそ戦いそうにない人が突如カッコよく銃を抜いたりするのに目がないので、この映画の後半はテンション上がりまくりました。もっとやって!
イギリスの田舎町の素敵な情景も魅力的でした。
街もパブもホテルも素敵。馬も白鳥も可愛いね…。
【映画感想】マイ・プライベート・アイダホ
深く交わったようで結局は交わってなどいなかった二人の青年。終盤の埋葬のシーンで感じた、二つの世界の隔たりがどうしようもなく辛い。
男娼のマイクが、男娼仲間のスコットと一緒に、自分を捨てた母親を探す旅をする話です。
イタリアまで付き合ってくれるスコットはいいやつだよね。友達としては。
ストレスを受けてナルコレプシーの発作が起きるたびに世話焼いてくれるし。
しかし、マイクのとてつもなく重い生育歴と辛い現状から生まれた孤独の穴を埋められる相手じゃない。
良家の子息として育ったスコットは、育ちの良い人がどんな相手にもするようにマイクに親切にし、青年期の反逆を終え、自分の住む世界に帰っていった。それだけ。
でもそれはマイクにはとても残酷なことだったよな〜〜〜。
スコットとの時間が、あの焚き火の側での一夜が、今後も掃き溜めで生きていくであろうマイクの宝物になったか、というと、どうもそういう風にも見えないし。
なんとも言い難い虚無感、寂しさが胸に残りました。
【映画感想】ソムニア
ソムニアとはラテン語で夢を意味する。インソムニアとは「夢がない」状態=不眠症。
良い子そうな孤児と、彼を引き取る感じの良い若夫婦。
もうこのまま本編スキップして幸せになってくれー!!って思いましたよ。
だってこれホラーなんだもん…
どうやら引き取られた少年コーディには夢を具現化する能力がある模様。
幼い子を亡くしたことから立ち直りきれていない奥さんは、その能力を死んだ我が子に出会うためのプロジェクターのように使ってしまいます。無理もない。
しかし、超能力にはつきものの副作用。いいイメージだけではなく、コーディの悪夢に現れるエイリアングレイのような風貌の「キャンカーマン(悪い奴)」まで現実に現れ、旦那さんを飲み込んでしまうのでした。
このお話、超能力を持っているのはコーディだけど、主人公は妻ジェシーなんですよね。息子の死を受け入れられず、コーディの能力を利用した代償に、夫もコーディも幻の息子も、全てを失ってしまう。そしてそこからコーディと彼の過去に腹を据えて向き合い、怪異に立ち向かうのです。二人目の息子を救うために。
過去を調べ、施設に侵入するジェシーはヒーローのようにかっこよかったです。
それから、キャンカーマンの名前と存在の由来はとても切ないエピソードでした。
旦那さんが戻ってこなかったのが残念。いい夫、いい父だったのにぃ…
見終わって俳優さんを調べてびっくりでした。トーマス・ジェーン、ミストの父ちゃんじゃん!!どうあっても家族と幸せになれないの辛っ…
【映画感想】ラウンダーズ
オレオおじさんのキャラがめちゃ強い。さすマルコヴィッチ。
この映画を見ようと思ったのは、お仕着せを着たディーラーや危険な香りのギャンブラーが集うハイソなカジノのイラストが描きたくて、参考にしたかったからだったのですが…そういう意味ではあんまり参考にならんかった!
ラスボスのオレオおじさんからしてジャージなんだもの!主人公マイクは苦学生だから綺麗目ニットだし。
しかし世の中(ていうかアメリカ)には色んな賭場があるんだなあ。
ギャンブルっていうといわゆるラスベガス的なキラキラしたとこが思い浮かぶんだけど、この映画に出てくる賭場はアングラなとこが多かった。
固定の施設っていうよりは「どこそこに賭場が立つ」みたいな感じ…?
知らないだけで、日本でも野球とか相撲とか、色々あるんだろうな。
私は臆病な小市民なので、マイクのような生き方は怖くてとても無理。
苦学生でも教授に目をかけられてる法学生の立場を捨てるとか勿体なさすぎる。
と同時に、教授が語った「神がいない」という感覚もわかる。法学生や配達してるマイクは、どこか居心地の悪そうな雰囲気をしていた。マイクは生まれついてのラウンダーズで、他の生き方は選べなかったんだと思う。そういう人もいる。
教授とのエピソードがとても好き。先生〜。
良き人生の師匠に出会う話、マット・デイモン好きなのかな。
グッドウィルハンティング思い出した。
あの彼女もめっちゃいい女だったなー。
マイクのことを好きだけど、情に流されたり、言ってることを鵜呑みにしたりしない。
最後にマイクが教授に返す金を託しに来た時の態度もかっこよかった。
【映画感想】聖なる鹿殺し
究極の選択…すらも運命に丸投げした男の話。
私、この映画を別の映画と混同していて、「美少年を招き入れたら家庭が大変なことになった話」と思っていましたが、だいぶ違いましたね。
混ぜていたのはこちら。視聴後一晩経って思い出した。
こっちはこっちで実の親子の話なので、美少年しか合ってない。
さて、本題の映画の感想です。
ギリシャ悲劇「イピゲネイア」になぞらえた舞台設定の中で、人間の負の面が執拗に描かれます。親子愛、職業倫理、利他の精神など、人の善性に属するものすべて、追い詰められた状況、死にたくないという本能的な恐怖の前で脆くも消し飛びます。えぐい。
グロやゴアはそんなにないです。薄目になったのは1シーンくらい。
でもカメラワークや演出、音楽が怖くて、見てる間中不安になる感じでした。
最初、マーティンはスティーブンのセフレだと思ったんですよ。
高い時計買ってあげたり、距離感が明らかに変だったから。
社会的地位も家庭もある医師のスティーブンだが、実はゲイで…みたいな。
違いましたね…。BLの見過ぎですね…。
セクシャルなシーンもちょくちょくある話なのですが、淡々としていてどこか滑稽。
全身麻酔プレイか。そうかー。
あと、ニコール・キッドマンが鬼のような顔で手コキをしてくれるシーンがあります。
おっさん、あれでいいんかい。
ランティモス監督は「この映画はコメディだよ☆」みたいなコメントをされてるそうですが、アリ・アスター監督といい、あんたらその感性どうなってるん、と言いたくなります。
でもたしかに引いた視点で見ると、一周回って乾いた笑いが漏れてくる感じがあるんですよね。スティーブンがマーティンの家に凸りに行くとことか、学校の先生に「査定的にどっちがいい子ですか」って聞きに行くあたりとか。先生困ってたやん…
グッドナイト・マミーが見てる間「もう許してー!」となるのに対して、こっちは「なんか不安、つら…」って感じでした。