【映画感想】キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン
可笑しくもかなしい、若き詐欺師と生真面目なFBI捜査官のおっかけっこ。
実在の天才詐欺師をモデルにした映画です。
自分内殿堂入りの、大好きな映画。
久しぶりに見たのですが、若い頃は気づかなかったことが色々見えました。
まず、主人公フランクがびっくりするくらい幼い…!昔見たときはお兄さんに見えてたけど、今見ると、ほんと寂しがりの家出少年だーって切なくなりました。
お金さえあれば、幸せだったあの頃の家族に戻れると思ってたのよね…うう…
そして、実父のダメさが印象に残ってたのが、母もアレだな…と気づきました。
あのお母さん、自分はどういう環境を幸せと感じるか分かってて、行動に移した賢明な人だと思うんだけど、子どもにとって問題が起きたとき、きちんと向きあってくれる人ではないんですよね。
父親もそこは同じで、カーペットにワインをこぼしたときの二人のリアクションがそれを物語ってたんだと思います。問題を無視して、やりたいことをやって、その足元で踏みつけられたしみがどんどん広がっていくの。
実の親が果たさなかった役割を果たしてくれるのが、捜査官ハンラッティなわけですが、改めてみるとめちゃかわいいおじさんでした。
エクレア半分ちょうだいってフランクに言われて、あげると思いきやもっもって食べちゃったり、一緒に組んだ捜査官に裏口を見張ってたらアイスをやる、って言って本当にチョコバーを買ってあげてたり。かわいい。
父性の役割のうちの一つが、「枠組みを作ること」だと何かで読んだ気がします。
能力の許すまま、無軌道にその場しのぎの生き方を続けかねなかったフランクに、捜査官の職務を通してまっこうからぶつかって断罪し、社会秩序の中で生きることを教えてくれたのがハンラッティなんですよね…尊い。
あのフランスの警察にフランクが連れてかれるシーン、心細げに振り返るフランクと、「必ず連れて帰ってやる」と叫ぶハンラッティは、もう、お父さん…!って感じでした。